研究概要: 「輻射場と分子の強結合による,励起状態ポテンシャルと非断熱過程の変調機構」を微視的に理解するための新しい実験手法を確立し,光機能性材料物性の系統的な制御を可能にする学理を構築する. 特に超高真空下の表面科学的実験手法を駆使した以下の新しい戦略を用いる.


① 
高強度表面局在電磁場を保持する新規金属薄膜と,光機能性分子の共吸着による,微視的構造を規定した強結合ポラリトン状態の実現と評価
② 
超高速非線形分光を用いた,ポラリトン状態の超高速ダイナミクスの観測


研究概要:二酸化チタンは光触媒のモデル物質として知られ,構造異性体間で触媒活性が異なるが,その起源は未だに 明らかになっていない.触媒反応の活性は,表面に吸着した原子・分子の拡散や脱離といっ た素過程と密接に関連しており,特に水分子の分解反応においては,プロトン移動が電子移 動と協奏的に起こるプロトン共役電子移動が重要であることがわかっている.一方で,吸着 種が誘起する電子状態は構造異性体間で空間的な局在度が大きく異なることが知られている が,プロトン移動との関係は明らかとなっていない.そこで本研究では,超高真空下でよく 制御された二酸化チタン表面を対象とし,高い時間分解能をもち,界面を選択的に測定可能 な振動分光と申請者が経験を有する核反応を利用した水素の検出を通じて,プロトン移動と ポーラロンの関係を明らかにする.